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母逝きて・・・

十億の人に十億の母あれど 
わが母にまさる母あらめやも
釘宮 徳廣

「母の日」は、母親に感謝を表す日。
母を歌った道歌は沢山ありますが、わけても私が好きなのは、
「十億の人に 十億の母あれど わが母にまさる 母あらめやも」です。

人々にそれぞれの素晴らしい母がいるのですが、私を一番思ってくれて、
一番親わしいのは私の母です。
私もこの3月に母の17回忌の法要をしました。

父が交通事故で亡くなってから、病弱な義祖母の看病を しながら、
中学生の私を頭に3人の子の学費を稼ぐ為に一生懸命働きつづけてくれました。
そして私が就職をし、弟が卒業。
やっとこれから少しずつ楽になると話していた矢先に、脳溢血で亡くなったのです。

この長い年月きっと母は、私が早く成長してくれる事だけを頼りに
そして楽しみに頑張っていてくれただろうに、
私は孝行らしい事もせずに、心配ばかりかけていたものです。
「子を持って知る親の恩」という言葉通り、私も 親になって初めて
母の心がわかってきた様な気がします。でももう母はいません。

「母逝きて泣いておろがむ手のあれば 母います時肩もみまつれ」

なぜ私は母の疲れた肩をもんでやれなかったのだろうか。
なぜ優しい一言をかけてやれなかったのだろうか。
母のことを想うと、母に対する懺悔の思いと、自分に対する自責の思いで
胸がはちきれそうになります。

お盆の16日、臨済寺様の境内で母の名前の書かれた灯籠に明かりが
ともされてゆらぐのに妻と手を合わせて拝む時、涙がこぼれて仕方ありません。
懺悔と自責の涙をふいて、和尚様方の読経に母を供養すると共に、
我が子に親としてのつとめをしっかり果たしたいものだと思いを固めております。

今年もご供養よろしくお願いします。